
「今年こそ」と思っていたのに、まだ手をつけていないこと、年内に4分だけ触れてみませんか
11月に入ると、カレンダーの一番上に「今年」の終わりが見えてきます。
そんなとき、ふと頭の隅から顔を出すものはありませんか。
「今年こそやろう」と思っていたのに、まだ手をつけていないこと。
たとえば、新しい勉強を始めること。たとえば、ずっと気になっている部屋の片づけ。たとえば、走ること、本を読むこと、誰かに連絡すること。
大きなことでなくてもかまいません。「今年こそ」の一言が、机の隅にそっと置かれたままになっている。そんな感覚です。
この記事は、「やっていない自分」を反省するためのものではありません。
リードマインドジャパンの講座では、動けないことを「能力や性格のせい」とは考えません。脳の仕組みを知らなかっただけ、と伝えています。
仕組みがわかれば、手の打ち方も見えてきます。この記事では、リードマインド・メソッドの「行動マネジメント編」で扱うベイビーステップと4分ルールを、読み物としてやさしくご紹介します。
この記事のポイントは2つです。1つ目は、動けないのは意志の弱さではなく、一歩が大きすぎるだけかもしれないこと。2つ目は、笑ってしまうほど小さな一歩を決めて、4分だけ触れてみれば十分だということです。
読み終えたら、年内に一度だけ、その「今年こそ」に触れてみましょう。触れるだけで十分です。
1. 11月、机の隅に残っている「今年こそ」
年末が見えてくると、思い出すこと
1年の計画は、1月に立てることが多いものです。
けれども、10か月近くたった頃に、そのときの気持ちをふと思い出すことがあります。「あれ、やろうと思っていたのに」と。
思い出した瞬間に、胸のあたりが少しきゅっとなる方もいるでしょう。焦りのようなもの、申し訳なさのようなもの、ちょっとした気まずさのようなもの。
たとえば、年明けに買った問題集が、本棚の端できれいなままになっている場面を想像してみてください。表紙を見るたびに「そのうち」と思い、そのうちが半年たってしまった。
こうした「手をつけていない」は、あなただけの話ではないはずです。
「今年こそ」と思ったときは、本気だったはずです。やる気がなかったわけでも、忘れてしまったわけでもありません。
仕事や家のこと、予定外の出来事に追われて、気がつけば後回しになっていた。そんな1年を過ごしてきた方も、きっといるはずです。
まず、自分を責めるのを一度やめる
動けなかった自分を責めると、さらに動きにくくなることもあります。責める気持ちが、心にもう一つ重りを足してしまうのかもしれません。
講座では、動きたいのに動けないのは意志の弱さではない、と伝えています。
頭では「やりたい」と思っている。同時に、心では「でも怖い」「面倒くさい」とも思っている。
アクセルを踏みながら、同じタイミングでブレーキも踏んでいるようなものです。力は入っているのに、前には進まない状態です。
この状態を、講座では「アクセルと同時に心のブレーキを踏んでいる」と説明します。エネルギーが空回りしている状態だ、という説明です。
だから、今日は反省会をしません。まず「踏んでいるブレーキがあるのかもしれない」と気づくところから始めましょう。
ブレーキの正体は、人によって違います。「失敗したくない」という不安かもしれませんし、「始めたら終わらなそう」という面倒くささかもしれません。
気づいた時点で、あなたはもう、ブレーキの存在を知っています。知っていれば、踏む力を少しゆるめる工夫がしやすくなります。
講座でも最初に聞く問い
リードマインド・メソッドの講座では、最初の自己紹介のワークで、次の項目をシェアします。
「今年こそやりたい!と思っているのにまだ手を付けていない事」
この項目には、「できないことを話しても大丈夫な場をつくります」というキーコンセプトが添えられています。
「できていないこと」は、隠したくなるものです。けれども、言葉にして初めて、向き合うための入口が開きます。
この記事も、同じ入口からはじめます。ご自分の答えを、頭の中でひとつ決めてみてください。紙に書くなら、一行で十分です。
「英語の勉強」「ストレッチ」「確定申告の準備」「あの人への返信」。何でもかまいません。
ここで選んだ「ひとつ」を、この先の章で小さく小さくしていきます。
選ぶときのコツは、「いちばん大事なもの」ではなく「いちばん気になっているもの」を選ぶことです。
もし複数浮かんだら、どれか一つだけで十分です。残りは、来年の楽しみにとっておきましょう。
2. 動けない理由は、脳の『守る働き』かもしれません
現状維持バイアスという、いつも通りの引力
講座では、「なぜ私たちは行動できないのか」を、脳の働きから説明しています。
そのひとつが「現状維持バイアス」です。バイアスとは、考え方の「かたより」のこと。現状維持バイアスは、変化よりも、今のままを選びたくなるかたよりを指します。
講座では「脳は『いつも通り』が一番安全だと判断する」と伝えています。
いつもの道、いつもの朝食、いつもの時間の使い方。慣れたものは、考えなくても進めるので、脳にとっては省エネで安心なのかもしれません。
そこへ「新しいことを始めよう」という提案が来ると、いつも通りに戻そうとする力が働くことがある、と講座では説明しています。
この力は、気合いや根性とは関係なく、誰にでも働くことがあります。
たとえば、休日の朝に「今日こそ部屋の片づけをしよう」と思ったとします。ところが、コーヒーを入れ、メールを見て、ニュースを読んで、気づけば昼になっている。
こんな経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。それは意志が弱いからとは限らず、「いつも通り」の流れのほうが楽だから、ということもあります。
流れに逆らうのではなく、流れの中に小さな新しいことをそっと差し込む。この発想が、あとで出てくるベイビーステップにつながります。
「動かない理由」を探してしまうのはなぜか
もうひとつ、講座では「扁桃体のアラート」という言葉も紹介しています。
扁桃体は、脳の中で不安や恐れに関わるといわれている部分です。講座では、新しいことや未知の変化を、脳が「命の危険」と錯覚して恐れを生むことがある、と説明しています。
もちろん、問題集を開くことが命に関わるわけではありません。それでも、脳は「いつもと違う」を警戒してしまうことがあります。
すると、頭の中に理由が次々に浮かびます。「今日は疲れているし」「時間がまとまって取れてからにしよう」「もう少し準備してから」。
講座ではこれを、「『動かない理由』を探すのは、脳の正常な防衛システム」と伝えています。
つまり、理由を探してしまうのは、怠けているからとは限りません。脳に、あなたを守ろうとする面があるのかもしれません。
もちろん、本当に疲れている日や、どうしても時間が取れない日もあります。そんなときは、休むことが正解です。ここで言っているのは、少しならできるのに、理由を探してしまうときの話です。
だから、気合いでなく「仕組み」でまわす
そこで講座では、「気合いで動くのではなく、『仕組み』でまわす」と伝えています。
脳の防衛反応を、意志の力でねじ伏せようとすると、疲れてしまうこともあります。大切なのは、防衛反応が働きにくい形で、はじめの一歩を設計することです。
講座では、自分を動かす「4つの歯車」として、新しいルール(Action)、環境を整える(VAK)、行動サイズを小さくする(Baby Step)、学習領域(Learning zone)を紹介しています。
この記事で扱うのは、その中の「行動サイズを小さくする」、つまりベイビーステップです。そして、動き出しを助ける「4分ルール」です。
どちらも、特別な道具も才能もいりません。次の章から、順に見ていきます。
3. ベイビーステップ――脳が怖がらないサイズまで小さくする
大きな目標は、脳に「恐怖」を感じさせる
講座の資料では、ベイビーステップについて「大きな目標は脳に『恐怖』を感じさせます」と説明されています。
たとえば、「今年こそ毎朝5キロ走る」と決めたとします。目標としては素敵です。けれども、頭の中で想像した瞬間に、脳は「大変そうだ」「続くだろうか」と警戒を始めるかもしれません。
目標が大きいほど、脳はそれを「いつもと大きく違うこと」として受け取りやすくなります。すると先ほどの防衛システムが働いて、「やめておこう」という声が大きくなることがあります。
講座の図では、BIG Goal(大きな目標)に「恐怖/Alert」、Small Goal(小さな目標)に「安心/safe」と書かれています。
大きな目標を持つこと自体は、悪いことではありません。ただ、最初の一歩まで大きくする必要はないのです。
目標はそのままの大きさで持っていて大丈夫です。変えるのは、「今日の一歩」の大きさだけです。
この切り分けができると、「大きな目標を立てたのに動けない自分」を責める気持ちも、少し軽くなります。
「脳が気づかないほど小さく」の例
ベイビーステップとは、行動を「脳が恐怖に気づかないほど小さい目標」にすることです。
講座では、具体例をふたつ紹介しています。
ひとつめは、「ランニング → 靴を履くだけ」。
ふたつめは、「本を読む → 一行だけ読む」。
どうでしょう。靴を履くだけなら、できそうな気がしませんか。一行だけなら、数秒で終わります。
靴を履いたら、そのまま走り出してもいいし、玄関で「今日はここまで」としてもかまいません。それでも、「靴を履いた」という事実は残ります。
小さな行動でも、ゼロとは違います。「やった」という一点が、記憶に残りやすくなります。
講座では、小さな成功体験が積み重なると、「自分はできる」という感覚(自己効力感)を育てていく、と伝えています。この感覚が、次の行動へ移るときの燃料になる、という説明です。
靴を履いた。そのたびに、小さく「できた」が増えていきます。大きな成功ではなくても、できたことは、できたこととして数えてかまいません。
「これなら失敗しようがない」サイズを探す
では、ご自分の「今年こそ」を、どのくらい小さくすればよいでしょうか。
講座の目安は、「これなら失敗しようがない」というサイズです。
たとえば、「英語の勉強」なら、テキストを机の上に出すだけ。「ストレッチ」なら、前屈を1回だけ。「確定申告の準備」なら、書類の入った引き出しを開けるだけ。「あの人への返信」なら、メッセージ画面を開いて、宛名だけ入れる。
「そんなに小さくていいの?」と思ったら、それが目安です。笑ってしまうくらいで、ちょうどいいのです。
もしまだ「できないかも」と感じるなら、さらに半分にしてみてください。「テキストを机に出す」が難しければ、「テキストを手に取る」だけでもいいのです。
小さくすることは、手を抜くことではありません。脳の警戒が反応しにくいところから、そっと始めるための工夫です。
小さくするときの問いかけは、ひとつだけです。「これを、今の自分が断る理由はあるだろうか」。
断る理由が浮かんだら、まだ大きすぎます。理由が浮かばず、思わず「それくらいなら」と言ってしまえたら、ちょうどよいサイズです。
4. とりあえず4分――やる気は出さなくていい
「やる気が出たらやろう」を、いったん手放す
「やる気が出たら始めよう」と思うのは、自然なことです。
けれども、やる気を待っていると、いつまでも待つことになりがちです。やる気は、こちらの都合のよい時間に来てくれるとは限りません。
講座では、ここで発想を逆にします。「『やる気が出たら行動する』のではなく、『行動するからやる気が出る』」と伝えています。
感情と行動は、一方通行ではなく、お互いに影響し合っている。やる気が行動を動かすこともあれば、行動がやる気を引き出すこともある、という考え方です。
リードマインドジャパンでは、これを「行動が心を動かす(Action Leads the Mind)」と呼んでいます。行動マネジメント編の中心にある考え方です。
今日はここだけ覚えておいてください。やる気がないから動けないのではなく、動いていないからやる気が出ていないだけ、ということもあるのです。
たとえば、掃除をする気が起きなかったのに、とりあえず机の上の紙を一枚片づけたら、いつの間にか机の上全体が片づいていた。そんな経験はありませんか。
最初は気が進まなくても、手を動かしているうちに、気持ちがあとからついてくることがあります。講座の体験ワークでは、その流れを「行動が心をリードする」と呼んでいます。
「やる気が出てから動く」を、「動いてから、様子を見る」に変えてみる。それだけで、肩の力が少し抜けるかもしれません。
4分ルール――「4分だけ行動する」と決める
そのための具体的な方法が、4分ルールです。
講座では、「やる気は出さなくていい。4分だけ行動すると決める」と伝えています。
ポイントは、やる気を出そうとしないことです。「やる気を出す」と「4分だけ動く」は別のものです。やる気を出すのは難しくても、4分だけ動くことは決められます。
講座では、最初のエンジン始動がいちばんエネルギーを使う、と説明しています。動き出しの一歩目がいちばん重い、ということです。
手足を動かす刺激が脳に届くと、やる気のスイッチが入りやすくなる、と講座では説明しています。4分ほど行動すると、「続きをやりたい」状態になることがあり、講座ではこれを「作業興奮」と紹介しています。
もちろん、その感覚には個人差があり、続きたくならない日もあります。ただ、試してみる価値のある方法です。
なぜ「4分」なのか、と気になった方もいるでしょう。講座では、「とりあえず4分」の魔法と題して紹介しています。4分という数字の理由は、ここでは深追いしません。ここでは「負担になりにくい短さ」と受け止めてみてください。
長い時間を決めると、また「大変そうだ」と身構えてしまうかもしれません。4分なら、タイマーが鳴るまで、そう長くは感じないかもしれません。
4分後は、続けても、やめてもいい
4分ルールの大切なところは、4分たったあとの自由です。
続きたくなったら、続けてください。4分たっても気が乗らなければ、そこでやめてかまいません。
「4分だけ」と決めたのですから、やめても約束は守れています。むしろ、やめても大丈夫だと思えるから、始めやすくなるかもしれません。
たとえば、問題集を机に出して、4分だけ開いてみる。時計の代わりに、スマートフォンのタイマーを使うと便利です。タイマーが鳴ったときに、「続けよう」か「今日はここまで」かを、自分で決めます。
どちらを選んでも、「今日、4分は触れた」という事実が残ります。
この小さな事実が、次の日の「また触れてみようかな」を、少しだけ軽くしてくれるかもしれません。
4分の間は、うまくやろうとしなくてかまいません。問題集なら、ページをめくって眺めるだけでも、立派な4分です。片づけなら、ゴミ袋をひとつ広げて、目についたものを入れるだけでも十分です。
大事なのは、成果ではなく、「触れた」という事実のほうです。成果は、あとからついてくることもあります。
5. 年内に、一度だけ触れてみる
ちょこっと一歩を選ぶ
ここまでの話を、ご自分の「今年こそ」に重ねてみましょう。
1章で選んだ「ひとつ」を思い出してください。それを、ベイビーステップの形に小さくします。
「靴を履くだけ」「一行だけ読む」のように、笑ってしまうほど小さな行動をひとつ決めます。
講座では、習慣のきっかけとして「If-Thenプランニング」という考え方も紹介しています。「もし(いつもの習慣)をしたら、(小さな行動)をする」という形で、いつやるかを前もって決めておく方法です。
たとえば、「朝のコーヒーを飲み終えたら、問題集を机に出す」。「歯みがきをしたら、ストレッチを1回する」。
いつやるかを決めておくと、「いつやろう」と迷う時間が減ります。迷う時間が減れば、防衛システムが「やめておこう」と言い出す隙も減るかもしれません。
行動は小さく、きっかけは日常の中に。これが、はじめの一歩の組み立て方です。
きっかけは、すでに毎日やっていることなら何でもかまいません。起きたら、お茶を入れたら、帰宅して靴を脱いだら、お風呂のお湯を溜めている間に。
新しい習慣を、新しい時間にねじ込もうとすると、どうしても無理が出ます。すでにある習慣の「あと」に小さな行動を乗せるほうが、続けやすくなることがあります。
もちろん、この組み合わせが合うかどうかには個人差があります。うまくいかなければ、きっかけを別のものに変えてみてください。
途切れても、また4分から
もし、一度動いたあとに、途切れてしまったらどうしましょう。
講座には、こんな言葉があります。「3日坊主は失敗ではありません」。
講座では、脳は省エネモード(元の習慣)に戻りたがるものだと説明しています。だから、途切れるのは自然なことだとも伝えています。「ダメだ」と自分を責める必要はありません。
そのときは、また4分ルールのスイッチを入れて、歯車を回し直せばいいだけです。
習慣化のコツとして、講座では3つを挙げています。止めないこと。休んでもよいこと。完璧主義をやめること。
体調が悪い日、忙しすぎる日は、休んでかまいません。休むことも、続けるための大切な選択です。
また元気になったら、4分から。それで十分です。
たとえば、3日続けたあとに1週間あいてしまったとしても、それは「失敗」ではありません。「あいた」という事実があるだけです。
そのあとに、もう一度タイマーを4分にセットしたなら、そのとき、あなたはもう、また動き出しています。
誰かに見せる成績表ではないので、連続記録にこだわる必要はありません。自分のペースで、止めずに、休みながら、完璧を目指さずに。それが、いちばん長く続く形です。
忙しい年末は、予定も体力も、思うようにならない日が増えます。そんな時期だからこそ、「4分だけ」「触れるだけ」という小さな約束が、役に立つかもしれません。
今日の小さな実践と、ご案内
最後に、今日のうちにできる小さな実践を、順番にまとめます。
- 「今年こそ」と思っていたことを、ひとつだけ選んで一行で書く
- それを「笑ってしまうほど小さな行動」に直す(靴を履くだけ、一行だけ、テキストを机に出すだけ)
- 「いつもの習慣をしたら、その小さな行動をする」と、きっかけを決める
- 今日、タイマーを4分にセットして、一度だけ触れてみる
- 4分たったら、続けても、やめても、どちらでも大丈夫
年内に一度、触れてみる。ここまでできれば、大きな一歩です。
もう少し詳しく学びたい方に向けて、リードマインドジャパンでは、11月8日(日)にオンラインで2つの講座を開きます。
行動マネジメント編は11:00〜12:30、感情マネジメント編は13:00〜14:30。どちらも90分で、受講料は各3,300円(税込)です。詳しい開催予定は、次のページでご覧いただけます。
https://leadmind.jp/kouza/kouzakaisaiyotei/
また、ご自分の行動のクセを知るヒントとして、無料の行動タイプ診断もご用意しています。よろしければ、気軽に試してみてください。
https://lmj-actiontype.takabon-69.workers.dev/
リードマインドジャパンの公式LINEはこちらです。必要だと感じたときに、ご覧ください。
「今年こそ」と思っていたあのひとつに、今日の4分だけ、触れてみるとしたら、あなたは何から始めますか。
